2015年11月22日日曜日

テキスキアパンで鉱物採集

オパール (Opal)

トラコテの水を汲ませてもらった後は、そのままケレタロへ。

グアナファトで鉱物を探していると、多くの人にケレタロに行くことを勧められました。
なぜかというとケレタロには石を磨いたり加工したりしてくれる職人がいるとのこと。
そのためにメキシコ中部高原地帯の鉱物が集まってきているという話を聞きました。

ケレタロはグアナファトに比べると随分大きな街なので、ある程度事前に当たりをつけてから訪れたかったのですが、インターネットで調べても鉱物を磨いてくれる店や人といった情報は出てきませんでした。
メキシコで何かモノを探す時、インターネットでは見つからないことが少なくありません。それでも直接人に聞いて、少しずつ範囲を狭めていくと最終的には見つけることができます。時間と手間がかかりますが見つけられた時の喜びも格別です。
街のどこに石を扱っている職人がいるのかは行ってみないことには分からない状態でしたが、口コミを頼りにケレタロへ向かいました。

ケレタロに着き、まずは宿泊先であるAir bnbのオーナーに街の様子を聞き、目星をつけて街の中心へ。
そしてセントロでまた何人かに聞き込みをすると、アルテサニアと呼ばれている人たちが手作りの民芸品やアクセサリーを売っている屋台通りがあることが判明。
言われた通りそこに行くと、確かにマクラメや石を使ったハンドメイドな品々が並んでいます。
順に話を聞いていくと、奥の方に石を磨いてくれるおじさんを見つけました!
口コミの情報は正しかったです。遠かったけど、確かに居ました。

グアナファトでいろんな人が言ってた”石を磨いてくれる人”って、このおじさんのことだったのか、それとも他にもいるのかは分かりませんが無事に一つ目の目標が達成できました。



そして翌日。

私たちには原石の加工を依頼することと、もう一つ、ケレタロを訪れたい理由がありました。
それはケレタロには今も稼働しているオパール鉱山があるということです。

日本でも昭和の時代にはたくさんの鉱山が稼働して日本の経済を支えていましたが、エネルギー需要が変化した影響もあり、現在日本で稼働している鉱山は両手で数えられるほどしかありません。

そのため現在の日本では鉱物採集をするとなると、鉱山跡を訪れることになります。
鉱山跡は廃墟となっているところが多く、人もほとんど入っていないのでその雰囲気は独特なものがあります。
昔から鉱物採集を続けておられる方に話を聞くと、鉱山で働いている人との触れ合いがあったり、石の話を直接聞く機会があったりと、羨ましく思っていました。

なんといっても現役の鉱山には、昨日まで出ていなかったものがもしかしたら今日出てくるかもしれないという期待感があります。昔の日本ではそれを感じながら鉱山を訪れていたのではないでしょうか。


日本での鉱物市場は、各地で定期的に開催されているミネラルショーが最も大きな展示会です。国内の石屋や、インドやアフガニスタン、南アフリカなど世界各地から現地の鉱物が持ち込まれ販売されています。
しかし、いくつかのミネラルショーを見て回ると、出店している店も売っている鉱物も大体同じというようなことが多々あります。
特に日本産の鉱物は掘り尽くされている感が強く、新たに状態のいいものが発見されてそれが市場に並ぶということはかなり確率が低い状態です。皆無と言ってもいいでしょう。

どの鉱物にも言えることですが、状態の良いものは市場に出るとすぐに個人のコレクターの手元に渡りますし、新たに鉱物採集をして、それを売っている人の数というのも限られています。
つまり、総数が限られている上に循環が滞っている状態のように感じます。

しかし、ここメキシコではまだまだたくさんの鉱山が稼働しているため、様々な鉱物が日々入れ替わって出回っています。
つまり、まだ誰も目にしたことがない鉱物が今日も掘り出され続けているのです!



さてそのオパール鉱山ですが、ケレタロから1時間ほど離れたところにあるテキスキアパンという小さな街の近くにあります。
鉱山の近くまで行き人に尋ねると、そのあたりでは有名なようで鉱山ツアーを主催している民家の写真を見せてくれました。

テキスキアパンのさらに奥にある村、トリ二ダッドです。

写真で見た通りの民家の前に車を止めると、犬が出迎えてくれました。


大きいけど穏やかな犬。怖くない。



おばさんが出てきて、中に案内してくれました。
壁には日本の雑誌の記事なども掲示してあり、ケレタロやテキスキアパン発のエクスカーションツアーとして紹介されていました。

建物の中には至るところに石がゴロゴロしていて、すでにオパールがチラチラ見えています。
その一番奥の部屋ではおじいさんがオパールを磨いていました。


モーターを改造したような研磨機。



石を磨くには目の粗いヤスリから磨いていき、少しずつヤスリの目を細かくしていき、最後にダイヤモンドペーストで表面を仕上げます。
熟練の磨きっぷりがオパールにさらなる輝きをもたらしています。



オパールのルース小。このサイズは5mm〜。



磨きの見学が終わると、オパールを展示販売している部屋に案内されました。
まばゆい輝きを放つオパールに目を奪われてしまいます。



深みのある緑と青。吸い込まれそう。



見学しながら職人さんと話しているとなんとこの方はこの道56年。半世紀です。
なかなか商売上手で、日本人がここでたくさん購入して持ち帰っているようです。
辺境の村でも必ず日本人は来ていますね。
この3倍の値段で売れるんだから、安いよー。と言ってきます。



右上の部分がオパール。


しばらく待ち時間があり、その間に名前を書いて料金を支払います。
ツアーの料金は一人80ペソ。
壁に掲示してある雑誌の記事では50ペソですが、値上がりしていました。
メキシコの物価はこの10年で料理の値段や宿の値段など、倍近く上がっていることが多いです。
私たちは朝10:30からのコースに参加しました。


おばさんが手際よく参加者をさばきながら注意事項を説明してくれます。
「山にはトイレがないので出発前にはトイレを済ましてね。水を持ってない人はこれを持っていってね!」
と口を動かしながら、ペットボトルの水、拾ったオパールを入れるビニール袋を配り、石を砕く用のハンマーを車に積み込んでいました。

15人くらい集まったところでいよいよ鉱山へ出発です。
TOYOTAのトラックの荷台に10人くらいが乗り、私たちはその後ろから4輪駆動の車で山を登っていきました。


犬がひょこひょこ車についていき、たまに振り返ってくれる。



ツアーガイドの飼っている犬が車を追いかけて、山道をずーっとついてきていました。
可愛い犬に和みながら山道を登って行きます。
15分くらい山道を走っている間に、遠くからダイナマイトの爆発音が聞こえてきます。



足元の石、全てに可能性あり。



見学可能なエリアで車を降りて、一同車座になってオパールを構成する元素や、生成の過程などをレクチャーしてもらいます。
話の途中のクイズに正解するとオパールがもらえます。
その後、坑道を見学。岩壁のなかにもオパールがちらほら見えるし足元にもキラキラ見えます。
気になって話が耳に入りません。



オパール鉱山の歴史やオパールの性質、特徴について教えてくれる。



ハンマーを貸して欲しい人はここで借りることもできます。
結局私たちは説明の途中から、めぼしい母岩を見つけてはハンマーで砕き始めました。
足元のにたくさん落ちている石もよく見ればどこかにオパール質の部分があるくらい、オパールだらけです。



坑道。花火サイズのダイナマイト体験もあり。



そこからは小一時間ほど採集体験の時間でしたが、ガイドに
「もう帰るよ」
と声をかけられるまで一心不乱にハンマーを降り続けました。

結果は小さいサイズのものしか見つけることはできませんでしたが、日本で見られるオパールとは違い、美しい色のものをみつけることができました。

小学生ぐらいのメキシコ人の男の子も夢中になっており、いいのを見つけたら見せ合ったり、交換したり楽しみながら採集することができました。









オパールの美しさの魅力は、遊色効果と言われる虹のような色彩です。
遊色効果とは結晶の構造や粒子の配列に光が乱反射することによって起こる現象で、オパールの中にはあたかも宇宙に見える銀河のような輝きを放つものもあります。

販売されていたオパール。オパールは水分を含む鉱物のため、保湿のために
水を入れた瓶に保存されていることが多い。このオパールも瓶の水の中。



本当は遊色を含むオパールを見つけたかったのですが、とびきりなものはなかなか見つけられませんでした。
それでも、見つけたオパールの中にも角度によって少し遊色が見られるものもあり、傾けたり光に当てたありしてその輝きを楽しみながら下山しました。



採集したもの。遊色は見られないが透明度の高いオレンジ。

採取したもの2。丸みのあるフォルム。かわいい。


採集したオパールはすべて持ち帰り可能で、かなり満足度の高いツアーでした。
私たち以外は家族づれが多く、ケレタロ観光のオプションとして楽しんでいたようです。オパールはキラリと光るので子供も見つけやすく、なおかつ綺麗なので、興奮して楽しんでいました。

下山して最初の建物に戻ると12:30くらいだったので、大体2、3時間のツアーだと思います。
ガイドのお兄さんも優しいし、終始穏やかな雰囲気の中、オパールもたくさん見つけることができたので私たちはご満悦でした。



テキスキアパンも可愛い街で民芸品のレベルも高いので、ケレタロに行く機会があればテキスキアパン&オパール鉱山コースはかなりオススメです!

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